哀歌 1章

哀歌1章の全22節。日常訳第1版、ふりがな付き。

1 ああ、あんなに人ひとであふれていた町まちが、今いまはぽつんと座すわり込こんでいる。多おおくの民たみをかかえ、国々くにぐにの中なかでも大おおきかった町まちが、まるで夫おっとを亡なくした女おんなのようだ。国々くにぐにの中なかの女王じょおうだった町まち、あちこちの州しゅうを治おさめていた町まちが、今いまは奴隷どれいに落おとされている。

2 この町まちは夜よるになると激はげしく泣なき、涙なみだが頬ほおを伝つたう。あんなに親したしかった者ものたちの中なかに、慰なぐさめてくれる者ものは一人ひとりもいない。友ともだちはみな裏切うらぎり、敵てきになってしまった。

3 ユダは苦くるしみと重おもい労働ろうどうに耐たえきれず、捕とらわれて連つれ去さられた。今いまは国々くにぐにの中なかで暮くらし、休やすむ場所ばしょも見みつからない。追おいかける者ものたちがみな、逃にげ場ばのない所ところで彼女かのじょに追おいついた。

4 シオンへ続つづく道みちは嘆なげいている。祭まつりに来くる人ひとがもう誰だれもいないからだ。門もんはどこも荒あれ果はて、祭司さいしたちはため息いきをつき、若わかい娘むすめたちは悲かなしみに沈しずむ。彼女かのじょ自身じしんも、心こころが苦くるしくてたまらない。

5 敵てきが上うえに立たち、彼女かのじょを攻せめた者ものたちが栄さかえている。彼女かのじょの罪つみがあまりに多おおかったので、主しゅが彼女かのじょを苦くるしめたのだ。子こどもたちは敵てきに追おい立たてられ、捕とらわれて連つれて行いかれた。

6 シオンの娘むすめから、輝かがやきはすっかり消きえてしまった。指導しどう者しゃたちは、草くさを食たべる場所ばしょを見みつけられない鹿しかのようになり、追おいかける者ものの前まえで力ちから尽つきて逃にげていった。

7 エルサレムは、苦くるしみとさすらいの日々ひびの中なかで思おもい出だす。昔むかし、自分じぶんが持もっていたすばらしいものすべてを。民たみが敵てきの手てに落おち、助たすけてくれる者ものが誰だれもいなかったとき、敵てきは彼女かのじょを見みて、その崩くずれ落おちた姿すがたをあざ笑わらった。

8 エルサレムは重おもい罪つみを犯おかした。だから、汚よごれた者もののように扱あつかわれるようになった。彼女かのじょを大切たいせつにしていた者ものたちも、今いまはみな見下みくだしている。彼女かのじょの恥はずかしい姿すがたを見みてしまったからだ。彼女かのじょ自身じしんもうめき声ごえをあげ、顔かおをそむける。

9 彼女かのじょの汚よごれは、その裾すそにべったりとついている。それなのに、自分じぶんの行ゆく末すえを考かんがえようとしなかった。だから驚おどろくほど落おちぶれてしまったのに、慰なぐさめてくれる者ものは一人ひとりもいない。「主しゅよ、わたしの苦くるしみを見みてください。敵てきがこんなに勝かち誇ほこっているのです。」

10 敵てきは手てを伸のばし、彼女かのじょの大切たいせつなものすべてを奪うばい取とった。あなたが「あなたの集会しゅうかいに入はいってはならない」と命めいじた異国いこくの民たみが、彼女かのじょの聖せいなる場所ばしょに入はいり込こむのを、彼女かのじょは見みてしまった。

11 民たみはみなうめきながら、パンを求もとめてさまよっている。命いのちをつなぐために、宝物ほうもつを差さし出だして食たべ物ものに換かえた。「主しゅよ、見みてください。よく見みてください。わたしはこんなに見下みくだされる者ものになってしまいました。」

12 そこを通とおり過すぎていくあなたたち、これが何なんでもないことだと言いうのか。よく見みてほしい。わたしの痛いたみほどの痛いたみが、ほかにあるだろうか。主しゅが激はげしく怒おこるその日ひに、わたしに下くだされたこの痛いたみほどの痛いたみが。

13 主しゅは高たかいところから火ひを送おくり、わたしの骨ほねの奥おくまで焼やき尽つくした。わたしの足元あしもとに網あみを張はり、後うしろへ引ひき戻もどした。わたしを見捨みすて、一いち日にち中じゅう弱よわり果はてさせた。

14 わたしの罪つみはくびきとなり、主しゅの手てで束たばねられ、より合あわされてわたしの首くびにのしかかる。主しゅはわたしの力ちからを奪うばい、立たち向むかうことのできない者ものたちの手てに、わたしを引ひき渡わたした。

15 主しゅはわたしの中なかにいる勇士ゆうしたちを、みな退しりぞけた。若者わかものたちを打ち砕くうちくだくために、わたしに向むけて群むれを呼よび集あつめた。主しゅはぶどうを踏ふむように、おとめであるユダの娘むすめを踏ふみつけた。

16 これらのことのために、わたしは泣ないている。わたしの目めからは涙なみだがあふれ、流ながれて止とまらない。わたしを慰なぐさめ、魂たましいを生いき返かえらせてくれる人ひとが、遠とおく離はなれてしまったからだ。敵てきが勝かち誇ほこり、わたしの子こどもたちは打うちのめされてしまった。

17 シオンは両手りょうてを差さし伸のべる。でも、慰なぐさめてくれる人ひとは誰だれもいない。主しゅはヤコブについて、周まわりの者ものたちが敵てきとなるように命めいじた。エルサレムは、彼かれらの中なかで汚よごれたものとされてしまった。

18 主しゅは正ただしい。わたしが主しゅの言葉ことばに逆さからったのだから。すべての民たみよ、聞きいてほしい。わたしの痛いたみを見みてほしい。わたしの若わかい娘むすめも若者わかものも、捕とらわれて連つれ去さられてしまった。

19 わたしは愛あいする者ものたちを呼よんだ。でも、彼かれらはわたしを裏切うらぎった。祭司さいしたちも長老ちょうろうたちも、命いのちをつなごうと食たべ物ものを探さがし求もとめながら、町まちの中なかで息いき絶たえていった。

20 主しゅよ、見みてください。わたしは苦くるしんでいます。はらわたは煮にえくり返かえり、心こころは内側うちがわでひっくり返かえっています。わたしがひどく逆さからったからです。外そとでは剣けんが人ひとの命いのちを奪うばい、家いえの中なかでは死しが待まっています。

21 人々ひとびとは、わたしがうめいているのを聞きいています。でも、慰なぐさめてくれる人ひとは誰だれもいません。敵てきはみな、わたしの災わざわいを聞きいて喜よろこんでいます。あなたがこれをなさったからです。あなたが告つげたその日ひを、どうか来きたさせてください。そうすれば、彼かれらもわたしと同おなじようになるでしょう。

22 彼かれらの悪事あくじがすべて、あなたの前まえに届とどきますように。そして、わたしのすべての罪つみのためにわたしになさったように、彼かれらにもしてください。わたしのうめきは多おおく、心こころは弱よわり果はてているのですから。